働く妊婦が使える制度一覧【産休に入る前】

妊娠中も働き続ける場合、仕事の負担や体調の変化が心配ですよね。

この記事では、産休前の働く妊婦さんが使える、無理なく働き続けるための制度をご紹介します。

会社に申し出れば使える制度

通院休暇の取得

男女雇用機会均等法 第12条

事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する女性労働者が母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならない。

事業主には、妊婦が保健指導や妊産婦健診などを受診するために必要な時間(通院休暇)を確保することが義務づけられています。

よって、妊婦は会社に申請すれば、有給休暇とは別に通院休暇を取得することができます

妻 とまと
妻 とまと

会社側が「妊婦健診に行くなら有給を使え」と言うのは違法です!
ただし、妊婦が自主的に有給を使って健診に行くのはOKとなっているので、会社によっては通院休暇を取りにくい雰囲気があるかも・・・。

受診のための休暇を取れる頻度は、以下のとおりです。

  • 妊娠23週まで/4週間に1回
  • 妊娠24週~35週まで/2週間に1回
  • 妊娠36週以後~出産まで/1週間に1回

なお、有給か無給かは会社によって異なりますので、就業規則等を確認する必要があります。

労働時間の短縮等

労働基準法 第66条1項

使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十二条の二第一項、第三十二条の四第一項及び第三十二条の五第一項の規定にかかわらず、一週間について第三十二条第一項の労働時間、一日について同条第二項の労働時間を超えて労働させてはならない。

ややこしい文章ですが、要するに

妊婦が会社に申し出れば、
1日8時間、週40時間の
法定労働時間を超えて働く必要はありません

という規定です。

時間外労働・休日労働・深夜業の免除

労働基準法 第66条2項・3項

2項
使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十三条第一項及び第三項並びに第三十六条第一項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。

3項
使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。

妊婦が会社に申し出れば
時間外・休日・深夜に働く必要はありません

という規定です。

軽易な業務への転換

労働基準法 第65条3項

使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。

妊婦は、現在の業務が負担の大きい業務である場合、負担の小さい業務に変えてもらうよう会社に請求することができます

たとえば、

外回りの営業は体力的に厳しいので、内勤に変えてほしい

重い荷物を運ぶ仕事はお腹に負担がかかるので、力仕事のない業務に変えてほしい

といったケースが考えられます。

会社側は、妊婦から請求があったときは軽易な業務に転換させなければなりません。

ただし会社側は、軽易な業務がない場合は無理に新設する必要はなく、代わりに

  • 重労働部分を外す
  • 仕事量自体を減らす
  • 仕事のやり方を変える
  • 休憩時間を増やす

等の措置で対応することも可能です。

医師の指導があれば使える制度

会社に申し出れば使える制度に加えて、医師の指導があれば使える制度もあります。

これは、男女雇用機会均等法第13条に基づいています。

男女雇用機会均等法 第13条

事業主は、その雇用する女性労働者が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない。

医師の指導があったときに会社に請求できるのは、大きく分けて

  • 妊娠中の通勤緩和
  • 妊娠中の休憩に関する措置
  • 妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置

の3つです。

それでは、ひとつずつ詳しくみていきましょう。

通勤緩和

交通機関の混雑による苦痛はつわりの悪化や流・早産等につながるおそれがあります。医師等から通勤緩和の指導を受けた旨妊娠中の女性労働者から申出があった場合には、事業主は、その女性労働者がラッシュアワーの混雑を避けて通勤することができるように通勤緩和の措置を講じなければなりません。

交通機関の混雑による苦痛は、つわりの悪化や早産・流産を招く場合があります。

特に、都会の満員電車なんて、妊婦にとって危険がいっぱいですよね。

そこで、医師等から通勤緩和の指導を受けた場合は、その旨を会社に申し出ることで、通勤緩和の措置を受けることができます。

具体的に会社が取るべき措置を以下にまとめます。

通勤緩和の措置
  • 時差通勤
    始業時間及び終業時間に各々30分~60分程度の時間差を設けること。
    フレックスタイム制度を適用すること 。
  • 勤務時間の短縮
    1日30~60分程度の時間短縮
  • 交通手段・通勤経路の変更
    混雑の少ない経路への変更

休憩に関する措置

医師等から休憩に関する措置について指導を受けた旨妊娠中の女性労働者から申出があった場合には、事業主はその女性労働者が適宜の休養や補食ができるよう、休憩時間を長くする、回数を増やす等休憩に関して必要な措置を講じなければなりません。

医師から指導を受けた場合は、休憩時間に関する措置を会社に要求することができます

具体的には、以下のような措置を求めることが可能です。

休憩時間に関する措置
  • 休憩時間の延長
  • 休憩回数の増加
  • 休憩時間帯の変更

妊娠中または出産後の症状等に対応する措置

妊娠中又は出産後の女性労働者が、健康診査等の結果、医師等からその症状等について指導を受け、それを事業主に申し出た場合には、事業主は医師等の指導に基づき、その女性労働者が指導事項を守ることができるようにするため、作業の制限、勤務時間の短縮、休業等の措置を講じなければなりません。

妊娠中または出産後の症状等に対応する措置は、大きく分けて

  • 作業の制限
  • 勤務時間の短縮
  • 休業
  • 作業環境の変更

の4つです。

作業の制限

以下のような、身体に負担のかかる作業を制限してもらうことができます

作業の制限
  1. 重量物を取り扱う作業
    継続作業6~8㎏以上
    断続作業10㎏以上
  2. 外勤等連続的歩行を強制される作業
  3. 常時、全身の運動を伴う作業
  4. 頻繁に階段の昇降を伴う作業
  5. 腹部を圧迫するなど不自然な姿勢を強制される作業
  6. 全身の振動を伴う作業 等

勤務時間の短縮

つわり、妊婦貧血(軽症)、妊娠浮腫(軽症)等の症状で医師の指導があった場合、
例えば、1日1時間程度の勤務時間の短縮等の措置がとられます。

休業

妊娠悪阻、切迫流産等の症状で医師の指導があった場合、
症状が軽快するまで休業を与える等の措置がとられます

作業環境の変更

つわり等の症状に対応するため、悪臭のする勤務場所から移動させる等の措置が取られます。

なお、妊娠中または出産後の症状等に対応する措置の内容については、
厚生労働省「働く女性の健康管理のために」に詳しく記載されています。

一例を見てみましょう。

つわり

⇒悪臭がする、換気が悪い、高温多湿などのつわり症状を増悪させる環境における作業の制限

特に、

  • 体重が1週間に2kg前後減少する場合
  • 尿中ケトン体が陽性の場合
  • 妊娠12週を過ぎても症状が軽快しない場合

⇒労働時間の短縮

妊娠悪阻

  • 1週間に3~4kgの体重減少がある場合
  • 尿中ケトン体が(+2)異状を示す場合
  • 脳症状や肝機能障害を示す場合

⇒休業

申し出なくても適用される制度

ここまでは、妊婦から申し出があった場合に会社がとるべき対応について説明してきました。

次は、妊婦からの申し出がなくても会社が守らなければならない規則について説明します。

危険有害業務の就業制限

労働基準法 第63条の3

使用者は、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所にお ける業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない。

妊娠中の女性従業員、産後1年未満の女性従業員には、次のような有害な業務を行わせてはいけません。

  • 重量物を取り扱う業務
  • 有害ガスを発散する場所での業務
  • その他 妊娠、出産、哺育等に有害な業務

妊婦に行わせてはならない業務の具体例は、女性労働基準規則に記載されています。

妻 とまと
妻 とまと

私は化学薬品を扱う仕事をしているけど、妊娠中は使わせてもらえない薬品がいくつかあったわ。

働く妊婦が使える制度一覧(産休前) まとめ

働く妊婦が使える制度
  1. 会社に申し出れば使える制度
    ・通院休暇の取得
    ・労働時間の短縮等
    ・時間外労働・休日労働・深夜業の免除
    ・軽易な業務への転換
  2. 医師の指導があれば使える制度
    ・通勤緩和
    ・休憩に関する措置
    ・妊娠中または出産後の症状等に対応する措置
  3. 申し出なくても適用される制度
    ・危険有害業務の就業制限

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