粉ミルクに付いている、消費者庁許可のマークとは。特別用途食品について

粉ミルクや液体ミルクには、消費者庁許可のマークが付いています。これは「特別用途食品」のマークなのですが、今回はこの特別用途食品について解説いたします。

特別用途食品とは

特別用途食品

赤字は、令和元年9月9日から追加。消費者庁資料より抜粋。

  特別用途食品とは、病気の人や、乳幼児、高齢者など、通常の食事を食べることが出来ない人のための特別な用途を目的とした食品であり、
特別用途食品は、「特別な用途に適する旨」を表示した食品を指します。

 特別用途食品については、健康増進法第43条において以下のように定められています。
(なお、令和元年改正により旧26条が条文移動かつ改正されております。)

健康増進法第43条第1項

 販売に供する食品につき、乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用その他内閣府令で定める特別の用途に適する旨の表示(以下「特別用途表示」という。)をしようとする者は、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。

健康増進法令和元年改正対応

 特別用途食品は、大分すると、

  1. 病者用食品
  2. 妊産婦、授乳婦用粉乳
  3. 乳児用調整乳→乳児用調製粉乳、乳児用調整液状乳
  4. えん下困難者用食品

に分けられます。また、特定保健用食品(いわゆる、「トクホ」)も広意には特別用途食品にも分類されると言っても良いでしょう。

特別用途食品になるには

 特別用途食品について、許可を受けようとする場合は、製品見本、商品名、原材料の配合割合及び当該製品の製造方法、成分分析表、許可を受けようとする特別用途表示の内容などを、内閣総理大臣に提出しなければなりません。旧法では、厚生労働大臣となっていましたが、内閣総理大臣宛に改正されています。

健康増進法第43条第2項

  前項の許可を受けようとする者は、製品見本を添え、商品名、原材料の配合割合及び当該製品の製造方法、成分分析表、許可を受けようとする特別用途表示の内容その他内閣府令で定める事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。

健康増進法令和元年改正対応

 評価は、それぞれの特定の用途のために適する成分であるかどうかだけでなく、それ以外の栄養成分が十分に含まれているかといった観点からも、評価されます。

以下の「乳児用調製乳たる表示の許可基準 とは?」の章で詳細に説明しています。

 認可が得られると、特別用途食品であることを表示することができ、特別用途食品であることを示すマークをつけることができます。

特別用途食品のマーク

 区分欄には、乳児用食品の場合は「乳児用食品」と、幼児用食品の場合は「幼児用食品」と、妊産婦用食品の場合は「妊産婦用食品」と、病者用食品の場合は「病者用食品」と、その他の特別の用途に適する食品の場合は、当該の特別用途が記載されます。
この表記内容については、以下の「特別用途食品 乳児用食品に表示される事項について」の章で詳細に説明しています。

特別用途表示の範囲とは

消費者庁資料より抜粋

 特別用途食品における特別用途表示の範囲について、
 特別用途食品は、あくまで「食品」ですから、原則として保険の機能や栄養成分の機能を表示することができません。

 一般向けに販売されている、トクホと呼ばれる特定保健用食品や栄養機能食品とは明確に区別されています。

 したがいまして、特別用途食品は、ある特定の用途での使用(食用)に適しているという表示なのです。

特別用途食品の許可件数はどれくらい?

許可件数一覧

消費者庁資料より抜粋

 実際に特別用途食品の許可件数はどれくらいなのでしょうか。
少し古いのですが、平成27年2月2日時点に許可された特別用途食品の表示許可件数を見ていきましょう。上に示した図が、一覧表です。

 この資料によりますと、乳児用調製粉乳は11件許可されていることが分かります。案外少ないですね。現在は、液状ミルクも許可されていますから件数はもう少し増えているはずです。

特別用途食品の許可の公表

 各メーカーが新商品を開発した場合には、この特別用途食品の許可を申請することになります。許可がされた場合には、以下のように消費者庁のHPに掲示されます。
 これは、誰もが閲覧することができます。確認することは希でしょうが、覚えておいても損はありません。

乳児用調製乳たる表示の許可基準とは?

乳児用調製乳たる表示の適用範囲

 乳児用調整乳をはじめとする特別用途食品の許可を得るためには、許可の基準をクリアしなければなりません。では、その基準とは一体どのようなものなのでしょうか。
消費者庁が公開している資料には、

許可を受けるべき乳児用調製乳たる表示の範囲については、母乳代替食品としての用に適 する旨が医学的、栄養学的表現で記載されたものに適用されるものとする。

と記載されています。いわば、母親の母乳成分に近しいか否か、が基準となっていると考えれば良いのではないでしょうか。母乳の成分との乖離が大きい場合には、許可できないと言うことになるかと思います。
では、その許可基準を見てみましょう。

乳児用調製乳たる表示の許可基準

乳児用調製乳たる表示の許可基準は、次の基準に適合したものであることとする。

(1) 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令 (昭和26年厚生省令第52号。以下「乳等 省令」という。)に基づき「調製粉乳」又は「調製液状乳」の承認を受けたもので あること。
(2) 表6に示す成分組成の基準に適合したものであること。

この(2)の表6を以下に示します。かなり細かく成分が決められていることが分かります。また、組成比も非常に細かく規定されています。これら値に適合しなければ、乳児用調整乳の許可を受けることができないのです。このようにして粉ミルクの安全性が担保されているのですね。

特別用途食品 乳児用食品に表示される事項

乳児用調製粉乳について

 乳児用調製粉乳として許可された場合には、どのような表示がされるのでしょうか。
 許可された場合には、このような通知をすることとされています。

乳児用調製粉乳の通知内容
  • ア 「乳児用調製粉乳」の文字
  • イ 当該食品が母乳の代替食品として使用できるものである旨
     (ただし、乳児にとって母乳が最良である旨の記載を行うこと。
  • ウ 医師、管理栄養士等の相談指導を得て使用することが適当である旨
  • エ 標準的な調乳方法
  • オ 乳児の個人差を考慮して使用する旨

また、乳児用調整液状乳についても別途記載要件が決められています。ほぼ同様の内容ですので、詳細は割愛させて頂きます。

それにしても、少し驚いたのは、 「ただし、乳児にとって母乳が最良である旨の記載を行うこと」という指示です。もとはWHOからの通知に起因していると聞き及んでおりますが、母乳が出ないママにとっては少し厳しい表示かとも思われます。
できる限り、母乳で育ててくださいという意である事は承知していますが、令和の時代には不要な記載なのかもしれません。

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