おもちゃにときどき付いてる「STマーク」。
これって、一体何を表してるの?
この記事では、STマークについて詳しく説明します!
目次
STマークとは?
STマークとは、
安全基準に合格したおもちゃに付されるマーク
のことです。
Safety Toy の頭文字を取ってSTですね。
日本玩具協会が定める安全基準(玩具安全基準・ST基準)をクリアすることで、STマークを付けて販売することが可能になる制度です。
ST基準は、
- 機械的安全性
- 可燃安全性
- 化学的安全性
の3つからなり、
STマークの付いているおもちゃは「安全面について注意深く作られたおもちゃ」と業界が推奨するものです。
STマーク制度の始まりは1971年。
日本で販売されるおもちゃの安全性を高めることを目的に玩具安全基準(ST基準)が定められ、STマークが使われるようになりました。
ST基準:どんな検査があるの?
1.機械的および物理的特性の検査
おもちゃの形状や強度に関する検査 です。
主な項目は、以下の通りです。
- 誤飲
- 窒息
- 突き刺し
- 切創、詰める、挟まれる
- 音、熱、電池、磁石
- 機械的強度
- その他、特定の検査
1.誤飲
子供が誤飲したりのどに詰めたりする危険のある小部品の検査です。
- おもちゃの部品が、斜め円筒(子供の喉を模した円筒)に完全に収まってしまわないか
- 球形の部品の場合、直径44.5mmの穴を通ってしまわないか
2.窒息
おもちゃによって窒息する可能性がないかを調べます。
- 紐:太さ及び長さの検査
- 頭に被れる袋:大きさと薄さの規定または空気穴の検査
- 口や顔を覆えるおもちゃ(カップやお面など)、子供が中に入れるおもちゃ:通気の検査
3.突き刺し
先端部が突き刺さることで怪我をするリスクがないか調べます。
- おもちゃのあらゆる先端は、先端試験機で突き刺しの危険性を検査
- 上に子供が倒れ込むと皮膚に突き刺さる危険のある部位(例;上向きの硬い棒)の有無も確認
4.切創、詰める、挟まれる
- おもちゃのあらゆる縁辺:
鋭い縁辺を判別するエッジ試験機で切創の危険性を検査 - 可動部やバネなどの隙間(指などを詰めたり挟まれたりする危険):
隙間の間隔や穴の寸法の規定に適合するかどうかを検査
5.音、熱、電池、磁石
- 音の出るおもちゃ:定められた測定方法で音のレベルが規定以内
- 熱を発するおもちゃ:温度上昇が規定以内
- 電池や磁石を使ったおもちゃ:年齢制限及び注意表記の規定、磁石の強さの規定
6.機械的強度
- 引っ張り
- ねじり
- 折り曲げ
- 加重
- 落下
などの試験を行い、危険な部分が発生しないかを調べる。
※危険な部分:鋭い先端/誤飲の恐れがある小部品 など
7.特定のおもちゃについて
特定のおもちゃについては、上記の検査以外にも、それぞれのおもちゃに必要な検査を受けます。
例えば、
- 凧:紐の電気抵抗を検査(感電の危険)
- 射体:発射された弾や矢などの運動エネルギー及び先端の材質と断面積を検査
などがあります。
可燃性検査
おもちゃの「燃えやすさ」を調べる検査です。
- 子供が身につけるおもちゃ(カツラ、お面、衣装など)
- 子供が中に入るおもちゃ(おもちゃの家やテント)
- 子供が抱っこするおもちゃ(ぬいぐるみなど)
に対して行われます。
- 材料
ニトロセルロースまたは同等の燃えやすい危険な材料が使用されていないことを検査 - 燃焼速度
おもちゃに炎を近付けて燃焼させたとき、燃え広がる速さが基準値以内であることを検査 - 表面フラッシュ
炎を近付けたとき、瞬間的に表面に炎が回る(表面フラッシュ)現象が見られないことを検査
化学的特性の検査
有害な色素や重金属のような物質が含まれていないか、溶け出さないかを検査します。
- 重金属
鉛、ヒ素、カドミウム:溶出量を検査
クロム、水銀、アンチモン、セレン及びバリウム:塗膜からの溶出量を検査 - 着色料
着色料が溶出しないことを検査(紙及び繊維は溶出量が規定値以下であることを検査)
着色料が溶出した場合:許可色素であることの確認検査 - 可塑剤
フタル酸エステル類6種:含有量を検査 - 不純物
蒸発残留物:水溶性溶出物の総量を検査
過マンガン酸カリウム消費量:水に溶出する有機物及び被酸化性物質の総量を検査 - 材質判別
上記の検査は素材ごとに行うよう規定されており、素材の材質が不明の場合は赤外分光分析や蛍光X線分析による材質判別を行います。
※ この章は、日本文化用品安全試験所のサイトを参考に作成しました。
STマーク付与に必要な手続き
STマークをはじめて付与するとき
商品にSTマークを付与するためには、
- STマーク使用許諾
- 検査に合格
の2ステップが必要です。
STマークを使い続けたいとき
STマークを使い続けるためには、更新が必要です。
- 契約期間は、契約日から1年間。
つまり、契約更新手続きが毎年必要。 - 表示有効期間は、2年間。
一度検査に合格すれば、2年間はSTマークを付けておける。
2年経ったら、改めて検査を受ける必要あり。
損害賠償補償制度
日本玩具協会は、万一事故が起こった場合に備えて賠償責任補償共済制度を設けています。
これは、STマークが付いたおもちゃが原因で事故(対人・対物)が発生した場合に、
STマーク契約者(日本玩具協会とマーク使用許諾契約を結んだ者)が被害者に支払った損害賠償金や訴訟費用に対し、日本玩具協会が共済金を支払うというものです。
もしおもちゃが原因で怪我をしたり物が壊れたりした場合、そのおもちゃの製造者や販売者は賠償しなければなりませんよね。
事故の原因となったおもちゃがSTマークのついたおもちゃだった場合、
被害に十分な補償ができるように、 STマーク契約者(製造者・販売者)に共済金を支払います。
ということです。
補償額は、
- 対人:1人1億円
- 対物:2千万円
- 見舞金:10万円
に設定されています。
なお、STマーク契約者は、かならず加入することを義務付けられています。
STマーク まとめ
- STマークとは、日本玩具協会が定める安全基準に合格したおもちゃに付されるマーク。
- 機械的安全性、可燃安全性、化学的安全性の3つからなる。
- 万が一の事故に備えて、損害賠償保証制度がある。