生後間もない赤ちゃんが一日の大半を過ごすベビーベッド。
日本国内で販売されているベビーベッドには必ず「PSCマーク」が付いています。
この「PSCマーク」は、何を表しているのでしょうか?
この記事では、ベビーベッドに付されているPSCマークの意味を解説します!
目次
PSCマークとは?
PSCマーク制度の目的
PSCマーク制度は、
消費者が日常使用する製品(消費生活用製品)により起こりうる怪我、火傷、死亡などの人身事故の発生等を未然に防ぎ、 消費者の安全と利益を保護することを目的として制定された法律です。
消費生活用製品のうち、構造、材質、使用状況等からみて、
一般消費者の生命又は身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品を、「特定製品」として指定し、製造、輸入及び販売を規制しています。
これら「特定製品」は、事業者の自主検査などが義務付けられ、国の定めた技術基準に適合してPSCマークが付されたものでなければ販売できません。
ちなみに、PSCは 「Product Safety of Consumer Products」(消費生活用製品の安全)の略です。
PSC制度の対象となる「特定製品」
現在、特定製品として以下の10品目が設定されています。
- 家庭用の圧力なべ 及び圧力がま
- 乗車用ヘルメット
- 乳幼児用ベッド
- 登山用ロープ
- 携帯用レーザー応用装置
- 浴槽用温水循環器
- 石油給湯機
- 石油ふろがま
- 石油ストーブ
- ライター
また、このうち①~④は、「特別特定製品」として指定されています。
「特別特定製品」は
特定製品の製造又は輸入の事業を行う者の中に安全性の確保が十分でない者がいると認められる製品で、事業者の自主検査に加えて、第三者による適合検査が義務付けられています。
特定製品には丸いPSCマークが、特別特定製品にはひしがたのPSCマークが付されます。
ベビーベッドは大切な赤ちゃんの命をあずかるものだから、より厳しい基準が設けられているのね。
ベビーベッドのPSC基準
ベビーベッドのPSC基準 20項目
それでは、ベビーベッドに設定されたPSCの基準をみていきましょう。
経済産業省から出ている「消費生活用製品安全法特定製品関係の運用及び解釈について」によると、ベビーベッドのPSC基準として以下の20項目が定められています。
非常に細かく設定されていることがわかりますね。
それでは、それぞれの項目について、検査の方法と合格基準を詳しく解説します。
構造に関する基準
① 手足を傷つけるおそれのある割れ、ばり、まくれ、ささくれ等がないこと。
概要:
けがにつながるような割れ・ばり・まくれ・ささくれはないか
検査方法:
目視
実際に目で見て、割れなどがないことを確認します。
②(1) 各部は、ゆるみを生じないよう確実に組み立てることができること。
概要:
ゆるみなく組み立てられるか
検査方法:
組立てを行い、目視等で確認
実際にベビーベッドを組み立ててみて、ネジ止めや差し込みで固定された部分にゆるみがないかをチェックします。
なお、多少のぐらつきがあっても、使用上支障がなければ合格になります。
②(2) 可動部分は、円滑かつ確実に操作することができるものであること。
概要:
可動部はなめらかに動くか
検査方法:
可動部分を操作して確認
可動部分とは、
- 扉(前開きもスライド式も)
- キャスターとストッパー
を指します。
③ 床板は、使用時に容易にはずれないよう確実に取り付けることができる構造を有すること。
概要:
床板がきちんと取り付けられるか
検査方法:
目視・触感による確認
「使用時に容易にはずれない」とは、ベッド全体を数回揺り動かしても床板や金具がはずれないことを指します。
④ 前枠が開閉式又はスライド式のものにあつては、乳幼児が容易にその前枠を開き、又は下げることができない構造を有すること。
概要:
赤ちゃんが勝手に扉を開けないか
検査方法:
目視・操作で確認
赤ちゃんが自分で扉を開けられるようでは、落下や挟まれ等の事故が容易に起きてしまいますよね。
そんな事故を防ぐため、扉は赤ちゃんが簡単に開閉できない構造にすることが求められています。
ラッチ式やネジ式が主流ですね。
⑤ キャスターを有するものにあつては、可動防止のための措置が講じられていること。
概要:
キャスターにストッパーかついてるか
検査方法:
目視・操作で確認
通常キャスターは4個ついていますが、このうち少なくとも2個にストッパーが必要です。
⑥ アクセサリーは、147.1ニュートンの力で引つ張つたとき、異状が生じないよう取り付けられていること。
概要:
アクセサリーが簡単に取れないか
検査方法:
ばねばかりで測定
小物入れ等のアクセサリーが元々付いているベビーベッドの場合、そのアクセサリーが簡単に取れてしまわないかをチェックします。
なお、147.1ニュートンとは、およそ15kgです。
⑦ 乳幼児が容易に枠を乗り越えて落下することがない構造を有すること。
概要:
赤ちゃんがベッドの柵を乗り越えて落ちないか
検査方法:
柵の高さ等を測定
具体的には、
- 床板をいちばん下げたときの柵の高さが、床板から60cm以上
- 床板から30cmまでに、足をかけられる物がない
などと定められています。
⑧ 乳幼児の頭部が組子間及び枠とマットレスの間等に挟まれにくい構造を有すること。
概要:
赤ちゃんの頭が、柵の間や枠とマットレスの間に挟まれないか
検査方法:
目視・触感・長さ測定
具体的には、
- 桟や支柱の間隔は必ず85mm以下。
- 床板から15cmの高さまでの部分の柵が十分堅い(たわんだりしない)こと。
などが定められています。
⑨ 乳幼児の手足が挟まれにくい構造を有すること。
概要:
ネットタイプのベビーベッドで、赤ちゃんの手足が挟まれないか
検査方法:
直径25mmの円盤がネットの目を通るか確認
ネットタイプのベビーベッドの例↓
⑩ 乳幼児の指が挟まれにくい構造を有すること。
概要:
スライド式扉とベッドの枠の隙間に赤ちゃんの指が挟まれないか
検査方法:
ノギスで、スライド式扉とベッドの枠の隙間が5mm以下であることを確認
⑪ 乳幼児の衣服のひも等が引つ掛かりにくい構造を有すること。
概要:
支柱の上端部に赤ちゃんの服がひっかからないか
検査方法:
目視・突き出しの長さ測定
具体的には、
- 支柱上端部の出っ張りが15mm以下
- 支柱上端部は面取りされていて角がない
と定められています。
強度に関する基準
強度に関する基準としては、⑫~⑲があります。
詳細な説明は省きますが、
- 押す
- 引っ張る
- おもりを置く
- おもりをぶつける
といった方法でベビーベッドの各部に負荷をかけ、変形等の異状がないかを調べます。
押す・引っ張る際の力は、場所によって、約20~60kgをかけるよう定められています。
また、重量物としては、10kgの砂袋が用いられます。
表示に関する基準
⑳が、「表示に関する基準」に当たります。
⑳(1) 届出事業者の氏名又は・・・
概要:
届出事業者の名称と検査機関の名称が、見やすいところに表示されているか
長々とした説明ですが、要するに
製造会社と検査した機関の名前は見やすいところ表示してね
ということです。
何かあったときに責任を取るべき団体がすぐにわかるようにするためですね。
⑳(2) 安全に使用する上で必要となる使用上の注意事項が容易に消えない方法により適切に表示されていること。
概要:
安全に関する注意が、見やすいところに表示されているか
表示しなければならない内容を要約すると、以下のようになります。
- 出生後24月以内の乳幼児が使用してください
- 支柱に乳幼児の衣服のひも等が引っ掛からないよう注意してください
- 止め金具及びねじ類の取付けが確実であることを点検してください
- ぴったりサイズのマットレス又は敷布団等を使ってください
- 扉はきちんと閉めて固定してください
- つかまり立ちができるようになったら、床板を一番下にさげてください。
ベビーベッドのPSCまとめ まとめ
- PSCマークは、生命又は身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多いと認められる「特定製品」が、国の定めた技術基準に適合していることを証明するためのマーク。
- 特定製品は10品目あり、PSCマークが付されていないと販売できない。
- ベビーベッドには20の項目が設定されており、すべてクリアしないとPSCマークは付されない。
赤ちゃんの命をあずかるベビーベッドだけあって、安全性はかなり厳しく検査されるんですね。
ベビーベッドを購入するときは、必ずPSCマークのついたものを選んでくださいね!
(2) 可動部分は、円滑かつ確実に操作することができるものであること。
(2) 安全に使用する上で必要となる使用上の注意事項が容易に消えない方法により適切に表示されていること。