子供は病気にかかりやすく、重症化することもあります。しかし、予防接種で予防できる病気も存在します。予防接種の対象となる病気はどのようなものなのでしょうか?
目次
はじめに
子供にいろんな種類の予防接種をしているけれど、どんな病気を予防するものなのかしら?
今回は、予防接種で予防できる病気について調べてみたよ。
0歳児の予防接種については、以前に書きましたのでコチラをご参照ください。
予防接種の種類(0歳児)
0歳児が受ける予防接種にはどのような種類が有るかといいますと
- B型肝炎
- Hib感染症
- 小児の肺炎球菌感染症
- ジフテリア等 → 四種混合
- 結核 → BCG
があります。
任意でロタウイルスのワクチンもありますが今回は説明を割愛いたします。
これら病気について詳しく解説していきたいと思います。
B型肝炎
病気の概要
B 型肝炎ワクチンは、 B型肝炎の予防、B型肝炎ウイルス母子感染の予防などのためのワクチンです。このワクチンの接種によりB型肝炎ウイルスに対する抗体ができ、かかりにくくなります。
平成28年10月から平成28年4月1日以降に生まれた全小児に対する定期接種が実施されています。
B 型肝炎ウイルス(HBs 抗原)陽性の母親から生まれた新生児に対する摂取は健康保険による費用負担、 B 型肝炎ウイルス陽性の血液に誤って触れることなどの事故の場合は労災保険や健康保険などによる費用負担で接種が行われます。
ワクチンの効果
B型肝炎ワクチン(HBワクチン)はHBVの予防接種です。
4〜6ヶ月間に3回の接種を行うことで、B型肝炎と将来の肝がんを予防できるとされています。接種は他のワクチン同様通常皮下注射で行われます。
HBワクチンの接種は世界180か国以上で行われており、ワクチンの中でも最も安全なものの一つと言われています。(日本肝臓学会HPより)
乳幼児期に3回の接種を行った場合、ほぼすべての人がB型肝炎に対する免疫(HBs抗体)を獲得することができます。
獲得した免疫は少なくとも15年間持続することが確認されており、20歳代までに接種を行った場合も高い効果が期待できます。
スケジュール
母親がキャリアでない場合(一般的な感染予防スケジュール)
1歳になる前に3回接種します。標準的なスケジュールでは、生後2ヵ月から4週間隔で2回、さらに1回目の接種から20週以上経ってから1回の計3回接種します。
公益社団法人 日本小児科学会「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」より一部改変
田辺三菱製薬HPより引用
Hib(ヒブ)感染症
病気の概要
Hib感染症は、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Haemophilus influenza type b)という細菌によって発生する病気で、そのほとんどが5歳未満で発生し、特に乳幼児で発生に注意が必要です。
主に気道の分泌物により感染を起こし、症状がないまま菌を保有(保菌)して日常生活を送っている子どもも多くいます。この菌が何らかのきっかけで進展すると、肺炎、敗血症、髄膜炎、化膿性の関節炎等の重篤な疾患を引き起こすことがあります。
Hibの感染による重篤な疾患として、肺炎、髄膜炎、化膿性の関節炎などが挙げられ、これらを起こした者のうち3~6%が亡くなってしまうといわれています。また、特に髄膜炎の場合は、生存した子どもの20%に難聴などの後遺症を残すといわれています。(厚生労働省HPより)
ワクチンの効果
ワクチン接種により、Hibが血液や髄液から検出されるような重篤なHib感染症にかかるリスクを95%以上減らすことができると報告されています。
スケジュール
初回接種については生後2ヵ月以降(生後7ヵ月まで)の期間に接種を開始し、27~56日の間隔をおいて3回、追加接種については初回接種終了後に7ヵ月~13ヵ月後に1回の接種を行います。
公益社団法人 日本小児科学会「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」より一部改変
田辺三菱製薬HPより引用
小児の肺炎球菌感染症
病気の概要
肺炎球菌による感染症を予防するワクチンです。
このワクチンの接種により13種類の肺炎球菌血清型に対する抗体ができ、かかりにくくなります。
肺炎球菌感染症は、肺炎球菌という細菌によって発生する病気で、そのほとんどが5歳未満で発生し、特に乳幼児で発生に注意が必要です。
主に気道の分泌物により感染を起こし、症状がないまま菌を保有(保菌)して日常生活を送っている子どもも多くいます。
集団生活が始まるとほとんどの子どもが持っているといわれる菌で、主に気道の分泌物により感染を起こします。しかし、これらこの菌が何らかのきっかけで進展すると、肺炎、や中耳炎、敗血症、髄膜炎等になったり、あるいは血液中に菌が侵入するなどして重篤な状態になることがあります。
ワクチンの効果
ワクチン接種により、肺炎球菌(ワクチンに含まれる種類のもの)が血液や髄液から検出されるような重篤な肺炎球菌感染症にかかるリスクを95%以上減らすことができると報告されています。
スケジュール
初回接種については生後2ヵ月以降(~7ヵ月まで)の間に接種を開始し、27日以上の間隔をおいて3回、追加接種については初回接種終了後に3回目の接種を行ってから60日以上の間隔をおいて1回の接種を行います。
公益社団法人 日本小児科学会「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」より一部改
田辺三菱製薬HPより引用
四種混合ワクチン
概要
2012年11月より定期接種に導入された4種類の混合ワクチンです。
- ジフテリア(Diphtheria)、
- 百日咳(Pertussis)、
- 破傷風(Tetanus)、
- ポリオ(Polio)を予防します。
各病気の英語名の頭文字とポリオの不活化ワクチンの英語名(inactivated polio vaccine)の略語をとって、[DPT-IPV]と表記されます。
四種混合ワクチンには、不活化ポリオワクチンが弱毒株であるセービン株由来のもの(2製剤)と、野生株であるソーク株由来のもの(1製剤)があります。
ワクチンの効果
四種混合ワクチンは、上で述べたとおり、①ジフテリア、②百日咳、③破傷風、④ポリオ(急性灰白髄炎)を予防するワクチンです。
このワクチンの接種によりジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオに対する抗体ができ、かかりにくくなります。
この4つの病気について下に記載しました。
ジフテリア
ジフテリア菌が喉や鼻の粘膜に感染することによって引き起こされる感染症です。感染した菌が毒素を出し、この毒素が神経麻痺や心筋の障害を起こします。
喉の炎症により気道がふさがったり、あるいは心不全を起こして死亡する場合もあります。致命率は5~10%ほどと言われています。
日本ではワクチンの普及で現在ではほとんど発生しなくなっています。
百日咳
百日咳菌によって引き起こされる、激しい咳を特徴とする感染症。
けいれん性の咳発作が断続的に続いた後、息を吸う吸気性笛声が続くという咳発作を繰り返します。 乳児では咳発作を起こすことなく、何の前兆もなく無呼吸発作でそのまま亡くなることもあり、大変恐ろしい病気です。 母親からの移行抗体も期待できず、新生児、乳児早期にも罹患することもあり、早期のワクチン接種が極めて大切です。
近年、増加傾向にあり、小学生高学年以上に多くなっていると報告されています。ワクチンによってある程度免疫を獲得しているため、典型的な咳症状を現さず、百日咳と診断されない症例も多数あります。新生児、乳児に死をもたらすもっとも身近な危険な感染症として認識する必要があります。
破傷風
破傷風菌が主に外傷などの傷口から体内に入り込んで引き起こされる感染症。
破傷風菌が出す神経毒素によって、口唇や手足のしびれ、歩行障害などを経て、全身の筋肉が一斉に縮まって体が弓のように反り返る強直性痙攣という症状を起こします。 非常に少ない量の毒素で発症するため、自然に感染しても抗体を獲得することが難しく、致命率が高いことが特徴です。
ポリオ
ポリオウイルスによって引き起こされる急性灰白髄炎。
脊髄性小児麻痺ともいわれており、5歳未満の小児で麻痺が見られることがあります。感染しても90〜95%程度は症状が出ない、いわゆる不顕性感染といわれています。軽度の場合は、発熱や頭痛など風邪に似たような症状がでます。感染者の200人に1人に弛緩性麻痺といわれる下肢の麻痺が起きて、そのうち5〜10%が呼吸麻痺により死亡するといわれています。
スケジュール
四種混合ワクチンは、生後3ヵ月から接種できます。3~8週間隔で3回、3回目の約1年後(6ヵ月後から接種可能)に4回目を接種します。
公益社団法人 日本小児科学会「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」より一部改変
田辺三菱製薬HPより引用
BCG
概要
BCGは、結核を予防するワクチンの通称であり、このワクチンを開発したフランスのパスツール研究所の研究者の名前を冠した菌:Bacille Calmette-Guerin(カルメットとゲランの菌)の頭文字をとったものです。
この菌は、本来牛に感染する牛型結核菌を時間をかけて弱めたものであり、1921年に初めて新生児に投与されました。以後、1924年には日本にも菌がもたらされ、わが国においても長い歴史があります。また、1965年には日本の菌(Tokyo 172 strain)からつくられたBCGワクチンがWHOの国際参照品に指定されています。
BCGワクチンの効果
BCGは結核を予防するために接種するワクチンです。
その効果について、多くの文献を総合的に評価した結果、乳幼児期にBCGを接種することにより、結核の発症を52~74%程度、重篤な髄膜炎や全身性の結核に関しては64~78%程度予防することができると報告されています(Colditz et al, 1995)。
また、一度BCGワクチンを接種すれば、その効果は10~15年程度続くと考えられています。
BCGと言えば、通称はんこ注射ですが、こんな悩みはお持ちではないですか??
この、はんこ注射!痕が目立つのよね。
もう少し目立たないところに打ってくれればいいのに!!
プンスカプン(`ε´)
厚生労働省によると、
BCGワクチンは、上腕外側のほぼ中央部に接種するものとされており、その他の場所への接種は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)上認められていません。また、肩の部分に接種を行うと、ケロイドを生じやすいことが報告されています。
だってさ。あの位置は、変えられそうにないね・・・
スケジュール
生後11ヵ月(1歳未満)までに1回接種します。
標準的な接種期間は生後5ヵ月から生後8ヵ月未満です。
公益社団法人 日本小児科学会「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」より一部改変
田辺三菱製薬HPより引用
さいごに
0歳児に接種する予防接種の役割等についてまとめてみました。
一つのページに、病気の概要、ワクチンの効果、スケジュールをまとめて記載しましたので、俯瞰的に確認できるかと思います。
個々のワクチンについての詳細については、別途Google等で検索されると良いと思います。
では、今日はこの辺で。
0歳児の予防接種についてはコチラのページでも書いていますから、よろしければご参考にしてください。
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